Fアトリエ

敷地面積

107.77m2 (32.6坪)

延床面積

86.1m2 (26.05坪)

施工

江中建設株式会社

― 季節や時間や天候にとらわれずに均質な光を求めて ―

この建物は約32坪の敷地に計画した日本画家のためのアトリエである。

大きな作品にも対応できるように一定の天井高を確保すると共に、それらの大作が搬出入可能な機能も要求された。
一般的に街中での住宅の設計は周辺の建物や環境に配慮しつつ、特に秋~春にかけての季節では直射日光を室内に導く事を考えるが、ここでは絵を描く行為に対して、季節や時間や天候にとらわれずに均質な光で満たされた安定した採光が主題となり、直射日光を敢えて抑える必要があった。

具体的には一般的な切妻屋根を逆勾配としたV字(バタフライ)型の屋根形状に、平面的には十字型のスリットを切った内樋形状の部分より光をとりこむと共に、アトリエ内部の壁と天井の境目のない漆喰仕上げの曲面によって、開口部からの光が均一な拡散光となって、アトリエ空間全体が均一な光で包まれるようにした。これらによって日中の自然採光時も日没後の照明点灯時も、アトリエ内部のどのエリアで創作をしていても影が生じない空間が実現した。

建物は耐震等級を上げるとともに、繰り返しの大地震にも耐える制震構造も付加しているが、構造家との協働によりアトリエ(約4.6m×9.6m)のスペースには一切柱のない無柱空間を実現している。

雨水も積極的に有効活用しており、内樋形状を生かして降雨時は屋根全体の受ける雨水のおよそ半分の量を建物正面のガラス開口部に伝わせて睡蓮池まで落とす仕組みとし、雨天時には室内よりその様相を楽しめるようにした。

その他には接客及び休憩が可能な和室と、絵を保管する倉庫、そしてトイレや水廻りという機能が併設されている。